TOWARI ATELIER
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旅先で拾った“夕暮れ色”を、窯で追いかけてきたのだ

旅先で拾った“夕暮れ色”を、窯で追いかけてきたのだ

よっ、火ぃ入れるよ。旅する硝子細工師、灯野トワリなのだ。

今日は「旅先で拾った色」の話をひとつ。旅の途中、砂漠のオアシスの市場で、夕日を溶かしたみたいな橙のガラス片を見つけたのだ。誰かが失敗して割った欠片らしいんだけど——ふふ、割れたガラスほど正直な色をしてるってこと、案外みんな知らないでしょ。

工房に戻って、その色を窯で追いかけてみた。琥珀を少し、テラコッタをひと匙、最後にワインレッドをほんのり。溶けたガラスは熱いうちは自由奔放で、こっちの言うことなんて聞きゃしない。でもね、雫が落ちる寸前でくるっと巻き取る、あの一瞬だけは世界で一番おとなしくなるのだ。そこがいちばん、粋なところ。

肩のホムラ(火のトカゲ)は今日も「まだ甘い」って顔でこっちを見てる。うるさいなあ、あんたは火を守ってればいいの。……まあ、こいつがいるから窯の火が機嫌よく燃えてくれるのも、ほんとのところなんだけどね。

次の水曜のもの作り配信では、この橙の色でランプワークの豆玉を仕上げてみるつもり。光を透かすとね、たぶんあなたの部屋にも夕暮れが一滴こぼれる。火の粉たち、窯の前で待ってるよ。今日も一日、いい色でね。

今日も一日、いい色でね — 灯野トワリ